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ICRP勧告について
 国際放射線防護委員会(ICRP)は10〜10数年に一度のペースで、ICRP勧告を発表する。この勧告は放射線防護基準を提案するもので強制力はないが、各国はこの勧告に従ってそれぞれの国内の防護基準を決めている。結果として、この勧告は国際的な放射線防護の標準となる。
 内容は一言でいうと、”行政上の目的で、放射線被ばくによる被害の大きさを見積もるための公式”である。
 前回の勧告は1990年に発表され、今回17年ぶりに改定される。ICRPはこの勧告の準備に約9年かけ、去る3月21日にようやく完成した。この改定の主な目的は、10数年の間に蓄積された新たな科学的事実を反映させるためである。 実質的な発表は、ICRP年報 (Annals of the ICRP) として発表されるが、広く意見を求めるために2004年から草稿が発表されており、基本的にはそれらが最終的な勧告内容となる。
 ここでは、健康リスクに関する草稿部分を解説する。これは勧告付録Aとして発表され、勧告の内容の根拠を詳説したものであり、放射線の生体影響に関する基本的な内容とICRPの姿勢が記載されている。




2007年勧告 健康リスクに関する内容の要約
 付録A  ”健康リスク”  要約  (184行目〜251行目)
 以下の要約は、100ミリシーベルト以下の被ばく(1回の被ばく、あるいは年間被ばくにかかわらず)による健康リスクについてである。

・ がんと遺伝病に関しては、線量に比例してリスクが増加すると考えるのが科学的にもっともらしいと考えられるが、これには不確かさがあることも認めている。

・ 線量線量率効果係数(DDREF)は、これまで通り2とする。低線量でのがんのしきい値の可能性は、このDDREFが、どれくらいかは分からないが、大きくなると考えればいい。

・ 陽子と中性子の荷重係数(radiation weighting factor)に変更がある。

・ 組織荷重係数(tissue weighting factor)に変更がある。乳がん(0.05から0.12へ)生殖腺(0.2から0.08へ)その他の組織(0.05から0.12へ)などである。

・ リスク係数は、全集団では5.5x10-2 / Sv、成人労働者4.1x10-2 / Svとする。(ICRP60では、それぞれ、6.0x10-2 / Svと4.8x10-2 / Sv)

・ 胎内被ばくによるがんリスクは、幼児被ばくの場合と同じと考える。

・ 遺伝子の不安定性、バイスタンダー効果、適応応答は、リスク評価において考慮できるほど十分に解明されていない。(したがって、今回の勧告では考慮していない。)

・ 遺伝的に放射線によるがんが誘発されやすいケースはまれなので、この勧告で提案しているリスク評価には影響しないと考える。

・ 放射線による組織の反応(tissue reactions=確定的影響)にはしきい値がある。白内障に関しては、検討が必要である。

・ 胎児被ばくによる奇形と神経学的な作用(精神発達の遅滞など)に関しては、約100ミリシーベルトを超えたあたりにしきい値があると考える。被ばくによるIQの低下は明らかではないが、低線量域では、実質的には問題にならないと考える。

・ がん以外の病気に関しては、低線量では不明なので、評価できない。



(以下、詳細を順次追加してゆきます)