被ばく影響チャート
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被ばくの影響の現われ方


「被ばくの影響」は単なる「被ばくの作用」ではありません。私たちは被ばくをしなくてもがんになります。被ばくの影響とは、そこに被ばくが足されることで、結果が違ってくるかどうかです。したがって、それぞれの人の突然変異が蓄積してゆくペース(がんペース)を土台にして被ばくの影響が決まります。

個人のがんペース




 図1は、私たちのがんペースの概念図です。
 年齢が上に進むにつれて、突然変異の数が増えてゆきます。これは私たちの体のどこかの突然変異の数が一番多い細胞の場合です。その細胞の突然変異が15個に達するとがんになります。
 一般に20歳以下では突然変異はまだできていないのではないかと思われます。発がん物質を受ける機会が少ないですし、防御機能も活性だからです。30歳前後から突然変異の蓄積が始まると考えましょう。突然変異は、何か(発がん物質の摂取など)があるごとに1個できるかできないかです。日常生活で一度に2個も3個もできるとは思えません。したがって、突然変異のでき方は、階段状です。

 Aさんは35歳くらいで1個目ができ、その後の人生で少しずつ増えてゆきます。年齢が高くなるにしたがって、できるスピードが速くなるでしょう。86歳でなくなりましたが、そのときの突然変異の最大値は13個です。つまり、どこもがんにならずに人生を終えることができました。
 Bさんは、31歳くらいで1個目ができ、やはり同じように増えてゆきました。Aさんに比べて、同じ年齢では数が多いことが分かります。つまり、がんペースが速いのです。そして75歳の時点で15個を超え、がんになってしまいました。がんになってしまうと、その後の突然変異の蓄積はどうでもいいことですから、描いてありません。

 さて、Cさんは、他の2人よりがんペースは速いようです。しかし、61歳で交通事故でなくなりましたので、結局がんにはならずじまいです。そのとき14個の突然変異があったので、おそらくあと数年も生きていれば、がんと診断されたことでしょう。しかし、結局がんにはならずに人生を終えたことになります。

 このような図を私たちすべての人に描くことができます。
 もちろん、このような図は死亡するか、がんになるかが確定してはじめて成り立ちますので、かなり高齢になってからでないと描けません。私たちの多くはこの途上にあります。

被ばくの作用
 さて、私たちが人生の途中で被ばくをした場合には、影響はどのようなものでしょうか。
 図2は54歳の頃に検査で被ばくをした場合です。このとき突然変異はまだ4個しかありません。




 まず、被ばくによって起こる細胞内のできごと、「被ばくの作用」を考えてみましょう。「被ばくによるがんの意味」を参照してください。
 放射線とその他の様々な発がん物質、それに対して防御機能による修復や消去など一連のできごとがあります。結果として突然変異1個分以上の発がん作用となる場合にのみ突然変異1個として細胞に残ることになります。
 図3はこの様子を表しています。
 (A)は、被ばくの作用が突然変異1個分を超えない場合ですが、結果は、突然変異は増えません。つまり被ばくの作用はあるが、突然変異とはならない、ということです。被ばく後も被ばくの前の道筋をそのままたどって行くことになります。
 一方(B)は作用が1個分以上ある場合ですが、結果として突然変異が1個増えます。したがって、その時点で突然変異が4個から5個になります。しかし、日常生活は変わりませんので、その後のペースは以前と同じです。結局、被ばくの時点で突然変異が1個増える方向にシフトして、その後の人生を続けることになります。
 被ばくの作用の大きさによって、私たちの突然変異の増え方は(A)(B)のどちらかになります。




被ばくの作用とがんペース
 図4は、被ばくの作用によって突然変異が1個増える場合の全体像です。
 54歳の時点で被ばくをしたために、がんペースのグラフは左の方向に1個分シフトします。図からわかるように、シフト後のグラフは、被ばくをしない場合のグラフを左に1個分平行移動したものになります。
 これが被ばくの影響ですが、ここでは突然変異の数の様子だけを見ていますので、がんに対する影響はわかりません。




被ばくの影響が出る場合
 図5では、このような被ばくの影響の結果を示してあります。
 被ばくしない場合には、がんにならずに87歳で亡くなりますが、被ばくして突然変異が1個増えたため、82歳のときに突然変異15個となり、がんになってしまいました。
 これは、「被ばくしなければがんにならないはずが、被ばくしたことによってがんになってしまった」という例で、まさに”被ばくの影響が現われる”場合なのです。
 これが、私たちが追求してきたものです。






被ばくの影響が出ない場合
 図6は、被ばくによって1個増えても85歳で死亡する時点では突然変異は14個でがんにはならず、被ばくの影響はないことになります。
 また図7は被ばくしなくてもがんになる場合で、被ばくによって1個増えた場合でももちろんがんになりますので、結果は変わらず、やはり被ばくの影響はないと言えます。









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